短編その参:シャドウダンサー

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「ま、そんな驚くようなところでもなかっただろう?」 「……いや、びびりまくりなんだけど」 内装はシンプル。 入り口近くの空間は巨大な円形の広間になっていて、その中心には見たこともない形をした銅像が置かれていた。 更にその広間からは4つの通路が東西南北に伸びている。 ミリアがその中から北側の通路に向かって歩き出したので、俺もそれに倣うようにして彼女の後を歩く。 一本のやや広めの通路。 その左右の壁には一定間隔で扉が取り付けられていた。 広間に比べると人通りは少ないが、それでもやはり人口密度は高い。 白服の研究員らしき人物もちらほら見かけたが、その殆どはかつてミリアを追っていたS・A・Dの戦闘集団、黒服だった。 「まあ、黒服は確かに戦闘がメインの仕事だが、その他が無能と言うわけではないからな。施設内でもそれなりに、その人手と能力を生かしてS・A・Dに貢献している」 「ふうん」 俺も仮にこのS・A・Dに入るのだとしたら、やはり黒服の一人になるのだろうか。なるのだろうな。きっと。
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