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「……ッ!」
戦慄。
後、緊張。
指先一本一本までカチカチに固まり、頬の筋肉がピクピクと震える。
圧倒的な、その存在。
合間見えたのはこれで二度目だと言うのに。
俺は性懲りもなく、奴を目の前にしたその瞬間に、押し潰されていた。
「な……何で……!」
死んだはずだ。
だから、アルフレッドはここにはいないはずだ。
思い出すは、黒き紅眼。
そう、あいつにお前は殺されたはずではなかったか。
お前が死ななければ、ミリアの固定は解除されないはずではなかったか。
ならば、どうして――
「混乱しているね」
静かに、なだらかに、平坦に、ただ、声帯を震わせて。
アルフレッドが、そう呟く。
「ああ、そうか。レイはまだ知らなかったか」
それを受けて、ミリアが思い出したかのようにそう手を叩いた。
「レイ。このアルフレッドは『別』だぞ」
「……は?」
別?ベツ?べつ?
『別』って、何だ?
俺はこの中で自分一人だけが緊張している違和感に戸惑いながらも、答えを求めるためミリアへと視線を向ける。
「かつての私を襲ってきた黒服連中……、その大半が未来からやって来た人間だと言う説明はしたな?」
「あ、ああ」
「なら、わかるだろう?お前が死んだと思っているのは未来から来たアルフレッド。今ここにいるのは、この時間軸を生きるアルフレッドだ」
「……そーいうことか」
合点がいった。
よくよく考えてみれば簡単なことだ。
しかし、気づかなかったにしろ、既に敵対関係ではないアルフレッドに脅威を覚えて震えるとは……。情けない。
「その節はすまなかったね、レイくん。僕ではない僕がしたこととは言え……、この通り、謝罪するよ」
ソファーから立ち上がり、ゆっくり、丁寧に頭を下げるアルフレッド。
そこまで言われると此方の方が申し訳ない気分になる。
と言うか、事実『このアルフレッド』には何もされていないのだから、謝られる道理はないのだ。
「だが安心していい。知っての通り、ジェイクは既に捕らわれ、僕の魔法で永久固定をなされている。もう君らを脅かすものはないさ」
全く、そう願いたいものだ。
二度とあんなことは御免だからな。
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