短編その参:シャドウダンサー

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「ん?どうしたんだい、ミリアくん。何か問題でも?」 突如として大声をあげたミリアに対し、アルフレッドは怪訝な顔で彼女に尋ねる。 あくまで物静かなアルフレッド、だが何が不満なのか、ミリアは先程同様の大ボリュームで、再び彼に対して口を開いた。 「認めないぞ!!私はそんな決定は認めない!!」 「認めない、と言われてもね。自分で言うのもなんだが、僕はそれなりに人を見る目はあると思っている。それに、総隊長の決定はいつまでも先延ばしには出来ない」 言って、アルフレッドは元々テーブルの上に置かれていたティーカップを取り、ズズと一口。 彼女の大声をまるで意に介していないようだ。いやはや流石と言ったところか、Mr.A。 「安心しろ、アルフレッド。私もお前に見る目がないとは思っていないし、総隊長の席をいつまでも空席にしておくことに問題を感じていないわけではない」 「ほう?つまり?」 「私が自ら、総隊長により相応しい人物を推薦しよう、と。そう言うことだ」 …………おいおいおい、待てミリア。 お前がその総隊長に推薦しようという人物は恐らく、いや、間違いなく俺のことなんだろう?なあ、そうなんだろう? 悪いことは言わない、やめておけ。 元々俺はそんな器じゃないし、ましてやアルフレッドが選んだ人材と肩を並べて、そいつより自分が勝っている自信など、雀の涙ほどにも存在しない。 無茶だ、無謀だ、無計画だ。 そんな行き当たりばったりの推薦が通るはずないじゃないか。 「成る程。推薦、と言うことは、君自身が総隊長に名乗りを上げると言うわけではないようだね。僕としては、君が総隊長をやってくれるのであれば、是非頼みたいところだったのだが」 「それは以前に断っただろう。大体、仮に私がS・A・Dに配属されるとして、研究者連中がみすみす私を戦闘部隊にまわすと思うか?」 「同感だ。君は研究部隊にこそ相応しい人材。その技術力、発想力を余すところなくそちらで発揮して欲しい。……尤も、それに引けをとらないくらい、君が優秀な戦士であることにも、疑いの余地はないのだがね」
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