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思い立ったが何とやらだ
早速、着替えて出掛ける仕度をした
何時までも幻覚の見える部屋には、いたくはない
「…行ってきます」
しつこいようだが目が合ったんだ…
チャリンコに跨がり、駅前に向かう
バイト先のコンビニとは逆方向なのでバイト仲間に会う事はないだろう
車が飛び交う国道沿いを走らせ、繁華街を越えて、会場にチャリンコを止める
開演時間には、まだ時間があるので、辺りをブラつく事にした
『…変わらないな、この辺りも』
半年ぶりに来た駅前の風景は何一つ変わってなかった
『…あの日のまんまか』
半年のあの時のまま
本屋もタコ焼き屋も
ハ剣伝も白木屋も村さ来も
スナック『みう』も『かおる』も『シャウリー』も
…何一つ変わってない
俺自身も…変わってない
いや…変わったな
『天使が見える様になったんだもんな、俺』
などと自虐的な気分に浸っていると開演時間が迫って来た
『そろそろ行くか』
来た道を振り返り、同じ道を戻っていく
…同じ道を戻って…いく
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