オールドファッション

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パタパタと、駆け足で海渡麻里が駆け寄って来た 軽く息を切らし、舞台メイクを落とし、ノーメイクで来た海渡麻里に、少しドキリとした 「すまない、待たせたね」 「いいですよ、…で、何食べます」 「何って…これだよ」 そう掲げた手には見覚えのある箱が握られていた …俺が差し入れに持ってきたミスドの箱である 「…昼メシ、それですか?」 「すまないね、芝居をやる時は何時も金欠なのだよ。…まあ、おひとつどうだい?」 「…俺が買ってきたんですけど」 劇場近くの公園に腰掛け、ドーナツを頬張りながら、芝居の感想を話した 素人の率直な意見 多分、取るに足らない、決して明日の芝居に繋がらない そんな俺の意見を真剣な眼差しで聞いている 『彼女なら言っても、馬鹿にしたり、哀れんだりはしないだろう』 そう確信した。 …いや、前から俺は知っていたのだろう 「…ある日、突然、自分の部屋に天使が現れたら、…どうします?」
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