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110番通報の一分後、小高は車に乗り込んだ。向かう先は先月倒産し、社長家族が死んで使わなくなった小さな工場。
シャッターは開けっ放しになり、もちろん鍵もかかっていない。
その工場で血を流した若い女性が倒れているという。
「またかよ」
小高は運転をしながら呟いた。
「また とは?」
隣に座るのは先週から刑事部に配属になった新人・若塚だ。
「お前、テレビを見ないのか」
「ええ。俺はもっぱら漫画っすね」
小高は呆れたように若塚へ事件の説明を始めた。
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