2.受け継がれし闇

2/6
8555人が本棚に入れています
本棚に追加
/205ページ
視界に映るのは、掃除の行き届いた清潔な部屋。白い天井には汚れ一つない。 「ここは…何処?」 起き上がりぼんやりと呟くカイト。意識がまだ覚醒してないらしい。 「目が覚めましたか?カイト君、ここはアーク魔法学園の医務室です」 背後から聞こえる澄んだ女性の声。振り返るカイトの眼に映るのは、普段は束ねている腰までの青い髪を解き、黒を基調とした私服に身を包んだ水帝ディーネ=トゥイス。 「ディーネさん!?何故俺はセントラルに居るんですか?…サンガルドに居たはずなのに…」 カイトの言葉に一瞬表情を曇らせたディーネだったが、一呼吸おくと語り始めた。 「私はサンガルドのギルドからの救援依頼を受けて、サンガルドに向かいました。しかし…私が着いた時には既に街は火の海でした。生存者を探して状況を聞こうと思い捜索した結果、広場に倒れていたカイト君を見つけ連れて帰ってきた訳です」 ディーネの話しを聞き、疑問な点があったのか、カイトは、難しい顔をしている。 「ディーネさん、俺が倒れていた近くに誰か居ませんでしたか?」 「う~ん。そういえば女の子が一人居ましたね。でもその子は、街長の娘でしたので、王宮に預けて来ましたよ」 「ならいいんですけど…あの子、教団に何か尋問されてましたよ」
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!