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涼しい顔で、キメラの鋭い牙を刀で受け流すカイト。
「…一体誰の趣味だ?全く品が感じられない姿だな」
カイトの小声がキメラに聞こえるはずもなく、理性という制御を失ったキメラは、獣の様にカイトに牙を剥く。
「うがぁぁぁー」
左腕の獣の爪でカイトを切り付けるキメラと刀で受け流すカイト。大木すらもたやすく切り落とせる程の鋭さを持った爪により地面には鋭い爪痕が出来る。
「ふざけた生き物だ…」
悪態をつくカイトに爪と鞭の連撃が襲う。薙ぎ払われた爪を受け流し、襲い掛かる鞭を刀で切り落とす。
切り落とされた鞭は、まるで生きているかの様に動き、カイトの右腕を刀もろとも巻き付け、動きを封じた。それに合わせるかのように襲い掛かる強靭な爪。
「……ちっ」
舌打ちをしたと同時に、キメラの爪が周囲の空気と共にカイトを切り付ける。咄嗟に左腕で身体を庇い、後方に跳ぶが、左腕、左肩からは夥しい量の鮮血が噴き出す。
「くっ…一撃でこれか…化け物が…しかも再生までしてやがる」
カイトが右腕に絡み付く鞭を振り払った時には、既にキメラの右腕には更に太くなった鞭が再生していた。
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