1.炎の決意

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爆発により立ち込めた煙が晴れるのを待たずして、カイトは穴を通り、サンガルドの街に入った。 「なっ……これは…!?」 街に入った途端呆然と立ち尽くすカイト。 人生において、目の前の現実が信じられない、いや信じたくない状況は極稀にある。カイトの目に映る現実は正にそれだった。数時間前まで賑わい人々が楽しみ、騒いでいる姿を見ていたカイトにはこの街の現状は信じたくないものだった。 サンガルドの街は、周囲を砂漠と火山地帯に囲まれており、一般的な移動手段は飛行船だ。この街の建築物はこの地域の特産物である烈火岩と呼ばれる赤色の非常に硬い岩で造られた石造りで四角い形のものが多い。人口は比較的多く観光地としても人気があり、別名"陽気な火の国"と呼ばれ、連日賑わいを見せている。 しかし現在の状況は陽気とは程遠い。元々赤い建築物の壁は更に色を赤黒く染め、多くの建物は全壊もしくは半壊している。 地面から空を突くようにそびえる黒い幾本もの黒い棒。その先端には無惨にもその人生を終えた、かつて人間だった者達が連なる様に黒い棒に腹部を貫かれている。辺りに転がる多くの死体。刀傷、魔法痕が街中に見られ、先程まで行われていた戦闘の激しさを物語っている。
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