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ぎゅっ…
奈美は制服のスカーフで望の腕を止血した…
「ねぇ先生…本当に一緒に死のうとしてました?」
「もちろんです!」
「ウソだって顔に書いてありますよ?だからわざとロープを首に巻こうって言いだしたんでしょ…」
「ぅ…バレましたか…」
望は最初から心中するつもりなどなかったのだ…
「あのまま手を放してくれたら私は死ねたのに…」
「あなたを死なせたくはなかったんですよ…」
「私なんて…生きていても意味がない──」
ぎゅっ…
望は奈美を抱き寄せた…
「私には意味がありますよ、日塔さんが必要ですから…」
「せ、先生…でも、私…」
「日塔さんが私を必要としないのなら、私は身を退くつもりでしたから…」
奈美は震えながら言った…
「私は…先生が…好き…」
ぎゅっ…
「ずっと怖かったの!自分が自分じゃないみたいで…先生のことも忘れちゃうんじゃないかって…」
「日塔さん…」
「こんな私でも…先生は傍にいてくれますか…?」
「はい──」
奈美は望の胸の中で泣き叫んだ…今まで張り詰めていたものを全て吐き出すように…
『私はもう、普通じゃない…それでも私のことを愛してくれる人がいる…それだけで、私は生きようって思えた…ありがとう、先生…好きだよ──』
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