今夜が

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    夏が来ると思い出す。 君と過ごしたあの一週間。   潮の匂い 蝉の声 青すぎる空   こんなにも暑いのに、 君を感じた瞬間に生じる真夏の魔法は、 汗がベットリ染みた服すら心地良く感じさせる。   国道添いに広がった真夏の海は、 なんのトリックも使わないのに僕を迷わせる。   君はもう、 いないのにね。   だけどこの、青過ぎる空を見ていると、 途切れずに鳴く蝉の声の隙間から、 君の声が聞こえて来そうな気がして仕方がない。   仕事は、 上手く行かないよ。 いつも怒られてばっかりだ(笑) だからかな? 仕事中に来るこの場所での息抜きだけが、 僕の唯一の楽しみだ。   僕はまだ 君の姿を求めている。   側道に止めた赤いバイクに座り、 男はあの夏を振り返っていた。   初めて行った日本海。 あのペンションで君と出会った。   君が急に姿を消した事も含めて 天文学的な偶然の一致ってやつだよね? 僕はやっぱり信じるよ。     君は犯人じゃないってね。     男は少し笑って配達という仕事に戻っていった。                ▽ゆうび▽
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