一ノ章【裏切りの伝説】

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「ふぅ… やっと、知ってる道に帰ってきたな…」  この市を出て、四ヶ月。俺は日本全土をバイクで走り回り、神達に会ってきた。  まぁ、簡単な話。彼らを保護するという事と、俺の知っている真実を伝えに言っていた。  この町で起こった二回の市破壊とその実行犯や計画。洗いざらい話した。  もちろん、信じてもらえたかどうかはわからない。中には聞きもせずに、俺が「坂口凪」だとわかると、攻撃してくる神も居た。  だが、それでも俺はこの行為が無駄だったとは思っていない。  なぜなら、あいつらだって、この状況を早く打開したがっているに決まっているんだからな…。 (ほぅ…、また過激なのができてるな…)  赤信号で止まっている時だ。繁華街付近のビルの壁一面に「神を許すな!!」「この人間社会に神はいらない!!「皆殺しだ!!」っと、さまざまな色で書かれた文字が乱雑に書かれていた。 (まぁ…今に始まったことじゃないか…)  一年前…。  丁度、空がこんなにも暗く厚い雲に覆われていた時期…。  俺が凶神の元凶を破壊し、寿命を残り一年にまで減らしたあの日から、世界中が騒ぎ、こんなにも堕ちた。  それでも政府が何もしないのは、この状態を望んでいるからだ。  でなけりゃ、神狩り組織を全面的にバックアップしないしだろうし……。『神殺し』などと言う組織名に改名させないだろう… 「……ちっ……忌々しいな…」  あのあからさまな態度。今思い出しても気に食わない。  それに、神全てを目の敵とする意向も丸見えで、気持ちの悪い事この上ない…。 (まぁ、向こうにとっちゃ、俺が居なくなることは想定外の出来事だったんだろな…)  今は19だが、一応『孤狼』と呼ばれる伝説級のハンターだったんだ。  政府としては大幅に戦力が減って、悔しがっている事だろう。  なんせ、神殺し特別部隊[救世主]とやらに入らないかと言うオファーと、最新鋭の銃一式の新調及び暮らしの全面サポートと言うビップ待遇が俺には着ていたからな。  だが、断ったもんだから、今みたいなジリ貧生活が続いているんだよな………。 (やっぱり、受ければよかったかな…。んで、あとで抜ければ……、まぁ良いか)  俺は青信号になった交差点を右手に曲がり、夜の街道をまっすぐに進んでいった。
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