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第一章 退屈な日々
ミンミーンと、蝉が鳴く。
……うぅ。
夏の痛い陽射しを浴びつつ、私はうなる。
額に浮かんだ汗が、歩くたびに白のポロシャツへと落ちた。
学校の帰り道、短縮授業の喜びは真夏の炎天下を歩いているだけで私の頭の中から吹っ飛んだ。
後ろから「ちょ、ちょっと待ってよ~」と、悲鳴にも似た声が聞こえる。
私は振り返り、階段をフラフラと上る親友に「ナツ!そこの公園で少し休もっ」と声をかけた。
太陽の光がサンサンと降り注ぐ高台……。
その高台に立ち並ぶ住宅街の中、私の家がひっそりと佇(たたず)んでいる。
私の少し後ろを歩いていた夏実は、やっと上り終えたのか「暑いー」と、叫んだ。
「ぷはー、生き返るー」と、親友が女の子なの? と疑問が浮かぶ発言をした。
私も、生き返るー。と、あえて、ぷはーを入れないとこが、男心をくすぐるのだと知っている。
……信じてる。
願い!そうであって……。
……ま、いっか。
水道の蛇口にへばり着いた私たちは、満足すると近くの日影へと避難した。
よく考えると、ぷはーとしない私はモテないわけで、そうしている親友はモテているわけで……あぁーー!!
私はよく考えることをあきらめ、日影で精一杯生きている芝にスカートで乗かった。
親友も乗っかる。
……あぁ、むごい。
親友があまりにも残酷にねっころがったものだから、私は心の中でつぶやいてしまった。
芝さん、ごめんね。
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