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戦争
ドドドド…………ボッカーン!!
ダダっ……ズドン!!
「第2歩兵隊前進ー!!援護が来るまで怯むんじゃないぞーっ!!」
「ウォシュトウ様、只今、南西地帯が、人手不足となっております。
このままでは、西地区も危ういかと…」
「ふむ…。北東部より、兵を1万ほど、援護に向かわせよう。」
「はい、かしこまりました。」
「あ、それと。妻をここに呼んでくれ。」
「はい。」
キー-----、パタン…。
大きな王の部屋の扉がゆっくりと開いた。
「あなた、何か?」
「いや…。
クレネス、私は本当は戦争など起こしたくはなかった。民衆のためにも。そして、ウォルトのためにも。
しかし、起こってしまった…。
早く終戦にして、皆を楽にしてやりたい。
だから私も近いうちに、ここを出る日が来る。
そして、君と離れなければいけなくなるやもしれん。
クレネス、いや、クレンよ、
君に……これを。」
久々に愛称で呼ばれたクレネスは、はっとした表情をみせた。
そして、そんなクレネスの側へ行き胸に抱き寄せると、
ウォシュトウはカレンの左耳に、それをつけてやった。
「あなた、これは?」
「私だと思って、大切にしてくれ。ラズリー家に代々伝わる、愛の証しの色、サファイアの石だ。
きっと、君を守ってくれるだろう。」
「あ、あなた…」
クレネスはウォシュトウの胸に顔を埋め、声を抑え、肩で泣いた。
ウォシュトウもまた、彼女を抱きしめながら、涙を流した。
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