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『――もしもし』
急に掛けてきた電話の主は、オレの恋人。
任務が終わったのだろうか。随分と遅いような気がした。
「なんだよ…今日、すぐ戻ってくるんじゃなかったのかよ?」
無意識に拗ねたような口調になっちまう。
ホントは、もっと素直になりたいんだけどな…
『んー…出来なくなっちまった。まだ、帰れない』
…だろうな。予想はしてた。オレだって、同じような状況だし。
「は!?ふざけんなよ!こっちがどんだけ…!」
まるで心配していたかのようにまくし立てる。でも、不自然ではない、と思う。
だってあいつ、オレが家にいると、思ってるから。
『…ホント、ごめん。終わったら、ちゃんと戻るから…』
…バカ。戻っても、オレはいないんだぜ?
オレ、お前が行ってから急に任務が入ったんだよ。敵ファミリーのアジトの殲滅。
お前と同じ、成功率1%の、任務。
99%の失敗なんて、怖くなかった。ただ、早く終わらせて、武に会いたかった…
でも、敵の方が一歩上手だった。それだけの話。
任務は終わらせた。致命傷を負ったものの、なんとか敵アジトの殲滅に成功した。
…会いたかった…最期に、もう一度…
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