回想・出会

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回想・出会

今から七年前の蛍乃宮 両親の出張とかで 十歳の時に母の田舎である 蛍乃宮に1ヶ月だけ 預けられていた事がある 辺りには豊かな自然があり   川でフナを釣ったり      祖父と森でクワガタを捕まえたり していた七年前の俺 そんな幼かった俺の頭から   離れなかった記憶 追憶の彼方に薄れたが 今はとても鮮明だ ………………。 (七年前の蛍乃宮) 虫取り網と虫籠を持って    昆虫採集に勤しんでいた当時の俺 たしかオニヤンマかアゲハを追いかけて しらない間に他人の敷地内に うっかり入り込んでいた 追っていた虫を見失い 帰ろうかとした時 誰かの視線を感じた 見上げると 二階の窓から同じ年位の女の子が俺をみていた 白い肌にきれいな黒髪 吸い込まれそうな瞳 大人に知らせる訳でも 眼下の俺に話しかける訳でもなく ただ俺を見つめていた 網と籠をおいて 窓に一番近い木に登って    自分から彼女に話しかけていた 何を話したのか もう覚えていない でも1つだけ 覚えている事がある 病弱な体のため外出する事を 強く制限されていた 彼女の切なる思い 『ホタルをみてみたい』
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