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ホタルのヒカリ
7時じゃあ…
まだ早かったかな
う~ん…
早かったかな~
そんな事を話ながら
二人は歩く
歩く道の両脇を
吊り下げられた提灯が
淡く足元を照らす
どれくらい歩いただろう
いつしか道は
アスファルトではなく土になり
アスファルトに慣れた足には
なんか少しこそばゆい
都会では
まずあり得ない事だ
行き交う車の音の代わりに
蜩が寂しげに鳴き
見渡せばコンクリートジャングルより
見渡す限りの深緑が心をうった
ふと、紗月が左手を出した
どうした?
手…
つないでもいい?
いいけど…
ありがとっ🎵
右手を差し出すと
すぐ左手を絡ませた紗月
正直、驚いた。
手をつないでもいいか?
と聞かれた事にも驚いたが
女の子の手を握るなんて
俺の日常では無かったから
さらには相手が紗月だ
俺より一回り小さい手
離すまいと握り返してくる力
ヤバ…
俺、顔紅くなってねぇ?
心の中での自問自答
鼓動が明らかに早くなる
一瞬、光が目の前を通った
蛍だ。
紗月、蛍だ…って…
何やってんの? 紗月?
それもそのはず
明らかに目を閉じている
蛍見たいんじゃねぇの?
見たいけど。
もっとたくさんを一度に見たいの
…で。
一度にたくさん見たいから
目をつぶっておくって?
そうよ。
おいおい…💧
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