5人が本棚に入れています
本棚に追加
怜は無我夢中で走る。
最近は遅刻が多かったらしく、これ以上遅刻は出来ないようだ。
ただでさえ勉強とバイトの両立で大変な怜は単位もギリギリで、これ以上問題を起こすと退学も有り得るらしい。
退学という文字を目の前に走る怜は気付いて居なかった。
歩行者信号が赤に変わるのに。
急いでいる車が、彼目掛けて突っ込んでくるのに。
グルグルと回る世界、
打ち付けられる身体、
少しずつ遠くなる視界に映る
真っ黒な、
猫……。
「まえ…は…生きろ……、も、う……死なせ、ねぇ……」
それが最後に怜の聞いた言葉だった。
最初のコメントを投稿しよう!