第1話 すれ違う想い

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私たちは、カウンターに腰掛けてお互いの話を尽きることなくしていた。 私の短大のこと。 あなたの会社のこと。 私の今までのレンアイのこと… あなたの失恋のハナシ… あなたは数ヶ月前に彼女と別れたばかりで、まだ少しだけ心に開いた穴が塞がらずにいた。 そして私も同じように数ヶ月前、大好きだった人に裏切られたばかり。 ―私は、その大好きだった人との『初めて』を、彼の欲望を解消するためだけに強引に奪われた。 そして、 「君とはもう会わない」 気持ちを伝える前に、彼は去って行った― 私たちはそんな傷をお互い慰め合うようにいつまでも話をした。 私の話を聞いた後、あなたは優しく頭を撫でてくれた。 でも平気だよ。 私は今、 あなたと出会った。 私たちは夜の街が、暗く静まり返るまで語り合った。 今まで会わなかった、何年もの時を埋めるように。 そして帰るころには私たちは、何年も前から一緒にいたような、恋が始まる直前の男女の微妙な関係になっていた。
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