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私たちは、カウンターに腰掛けてお互いの話を尽きることなくしていた。
私の短大のこと。
あなたの会社のこと。
私の今までのレンアイのこと…
あなたの失恋のハナシ…
あなたは数ヶ月前に彼女と別れたばかりで、まだ少しだけ心に開いた穴が塞がらずにいた。
そして私も同じように数ヶ月前、大好きだった人に裏切られたばかり。
―私は、その大好きだった人との『初めて』を、彼の欲望を解消するためだけに強引に奪われた。
そして、
「君とはもう会わない」
気持ちを伝える前に、彼は去って行った―
私たちはそんな傷をお互い慰め合うようにいつまでも話をした。
私の話を聞いた後、あなたは優しく頭を撫でてくれた。
でも平気だよ。
私は今、
あなたと出会った。
私たちは夜の街が、暗く静まり返るまで語り合った。
今まで会わなかった、何年もの時を埋めるように。
そして帰るころには私たちは、何年も前から一緒にいたような、恋が始まる直前の男女の微妙な関係になっていた。
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