デッドエンドはまだ来ない

ハートのエース

ハートのエースと呼ばれるそもそもの由縁、もとい原因は、教室の先頭で眠りこけている、赤茶の緩い癖っ毛のアホ面した、幼なじみ兼親友。

ｻｲﾄｳｶｲｼﾞ
斎藤灰司、通称ハイジにある。
親好を目的とした、ちょっとしたパーティーなるものをハイジが始めると、すぐさまこのクラスは意気投合し始めた。

友達からそのまま恋人へ。スライドするのに殆ど時間は掛からなかった。

皮肉なことに、付き合っていない俺とハイジを含めた奴らは“ハートのエース”内で“ジョーカー”と呼ばれる様になった。

まあだからといって恋が出来ないわけじゃない。現にちゃんと俺は恋をしている。

教室の窓際、その最後方。日の光が射し込む場所に、その相手はいる。ヘッドホンを耳に付けていて、いつも通り先生の話など気にしてすらいない。前に垂れているなだらかな金髪。後ろ髪を丁度腰あたり、赤いリボンで結んでいる。

ｱｶﾄ ﾘｸ
赤兎璃紅。ハイジと同じ俺の幼なじみ。そして、ジョーカーの一人でもある。