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「本当、近藤ってデカいよな」
「…わたしがデカイいんじゃなくて貴方がチビなんでしょ?」
仁王立ちで腕を組み、睨みつける。
「怖っ。さすが、ジャイアント近藤…迫力あるな」
ジャイアント近藤…今年で17才、高校二年にして身長176㎝を誇るわたし、近藤まゆりのあだ名だ。
身長が高いからジャイアント、らしい。ひねりが無い。
このあだ名をつけた奴のボキャブラリの貧困さに頭痛がしたりしなかったりしたが、昔のあだ名の一つ“巨塔”とかよりはマシかもしれない。
少なくても人間っぽい。
…プロレスラーみたいだけど。
いや、そんな事今どうでもいい。
「櫻井君、喧嘩売りに来たの?」
放課後、一人で何気なく校舎裏の花壇を眺めていたわたしに話しかけて来たのは、クラスメイトで隣の席の男子、櫻井達人。
チビとは言ったが、彼は身長が低い訳では無く、わたしとあまり大差無い。
わたしの場合、女としては高身長なのは認めるけど、こうもしみじみと「デカい」なんて言われると腹が立つ。
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