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美佐はにやにやと、嫌な笑いを浮かべながら身を乗り出して来る。
「で?直君って誰!?」
「いや、その、た、ただの幼なじみだよ!」
「幼なじみとの恋!定番ね!よし、詳しく聞かせろ」
美佐の目は好奇心で爛々と輝いている。
…絶対面白がっている。
「詳しくも何も…面白い話でも無いよ?好きかも、なんて、わたしの勘違いかもしれないし」
「え~、勘違いかどうかなんてまだ分からないじゃない」
「…それに、恋じゃないかもしれないし」
「でも、その人の事気にはなってるんでしょ?」
「気になっていると言うより好きだよ?単純に」
「好きなら、それって恋でしょ?」
「さあ?」
「なによ、それ…」
冷静になって考えてみると、直君と普通に話していて可愛いと思っても、特別ドキドキしたりしない。
しかし、“男の子”の直君に、抱きつかれたり、思わせぶりな態度をされたりすれば、ドキドキしてしまうのは仕方の無い事なのではないか。
つまり、意識してしまうのは、直君だからというより“一応は異性”だから。
そうだとすると、これは本当に恋なのだろうか?
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