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端から聞けば、15才の男の子に対して園児とは、酷い言い草で馬鹿にしているように聞こえるかもしれない。
しかし。
「好きだよ、それは本当。好きの種類がちょっとズレてるかもしれないけど…」
「やっぱりよく分からない…種類も何も、好きは好きなんでしょ!?」
「ちょっと…美佐、声大きいって!」
ホームルーム前の教室には他の生徒がいる。
ぐるりと周りの様子を確認してみる。
各々が友達と話に夢中だったり、予習をしていたり…わたしの席が一番後ろで教室の端にある事もあり、私達を気にする生徒はいないように見えたが…
「…近藤、好きな奴いるんだ」
真後ろに櫻井達人がいた…。
「気配無く後ろに立たれると怖いんだけど…」
櫻井君は無言で隣の席に着く。
…からかわれると思ったが、予想に反してリアクションが薄い。
というより元気がない。心ここにあらず、といった感じで目も虚ろだ。
何かあったのだろうか?
いつもの彼なら軽口の一つや二つ言って来そうなものだが…
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