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よく分からない反応だ…。
気色悪がられて引かれようが、怒鳴られようが、動揺する櫻井君を、冗談だと思いっきり馬鹿にする予定だった。
反応が薄くて、馬鹿にするタイミングが無い。
ためしに、もう一押ししてみるかな…。
「もしかして、本当に何かして欲しいの?」
「………それは、まぁ」
櫻井君は視線を逸らさずわたしを見ている。真顔で。
美佐が「うわぁ…」と声をもらし、一歩ほど後ろに後退している。
それは…まぁ?
「あの…それは、何だって?」
「…………してくれよ」
はっきりと聞こえた言葉に場が凍りつく。
「さーくーらーい…羞恥心が無いのかオメーは」
頭を抱える美佐。
わたしはと言うと、思考が凍り付き、固まっていた。
櫻井君の目の色が、まるで逃げる事を許さないとでも言いたげに、わたしを捕らえる。
目が逸らせず、背筋がゾクゾクと、悪寒とも恐怖ともなんとも言えない感覚が走る。
「近藤」
「…な、に…」
「放課後俺の家でじっ…」
「待て、待て待て待て。ストップ!」
ダンッ!美佐が机を叩き、わたしと櫻井君の間に割り込むように身を乗り出し、櫻井君を睨む。
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