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そして、気付いた頃には放課後―
「まゆりってば、授業中もずっとボーっとしてるんだから…」
「眠くてどうにも…」
「昼休み中も寝てたよな」
帰り支度をして、席を立つ。
「帰って、寝るよ…だるい」
「大丈夫?」
美佐は心配そうに顔を覗き込んでくる。
「近藤、送ってくよ。…ちゃんと話したい事もあるし」
「…う~ん」
櫻井君か…。そう言えばなんか今朝言ってたな…。
「わたしも行く!」
「何で浅野まで着いて来るんだよ…」
「親友として心配だもん。色々と…」
「何が?」
「あ、まゆりってば!先行かないでよ!」
二人で校門に向かうわたしに着いて来る。
「…二人共、校門まででいいから。美佐は家の方向逆だし」
「いいじゃんたまには!まゆりの家行ってみたいし」
そう言って、美佐は腕を組んで来る。
「浅野…お前な、空気読んで二人で話させろよ」
「まゆりは誰にも渡さないもんね」
美佐はふんっと鼻を鳴らし、櫻井君に舌を出して見せる。
「……あれ?」
校門に立っている人物を見て、思わず声をあげる。
制服が違う為、遠目で見ても目立つ。
あれは……直君?
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