宣戦布告

13/17
前へ
/147ページ
次へ
「………。まゆちゃん…誰、この人」 直君はわたしに抱き着いたまま、櫻井君を睨み返す。 「俺?櫻井達人。どうぞよろしく、直君」 櫻井君は笑顔を作るが…目が笑っていない。 「…どうも。僕の名前知ってるんですね」 「近藤が可愛い幼なじみがいるって言ってたから。小学生、だとは思ってなかったけど」 “小学生”を強調して言う。 「……」 直君は顔をしかめる。 確かに直君は小柄だが、小学生に見える程小さくはない。 その上制服を着ている。 「櫻井君。いきなり何?それ、わざと言ってるでしょ…」 櫻井君を見ると、作り笑顔も消え、再び直君を睨み付けている。 「というか、いつまで張り付いてんだよ。お前」 「…別に、貴方には関係ないじゃないですか」 ギュッと、抱き着く腕に力を入れる。 「こんな事、いつもしている事だし。ね?まゆちゃん」 そう、笑顔を向けられるが… 「うん、まあ…。あの、直君、怒ってる?」 「べーつーにー。僕、小学生に見えるらしいけどー。気にしてないしー」 …完璧にキレている。
/147ページ

最初のコメントを投稿しよう!

557人が本棚に入れています
本棚に追加