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「………。まゆちゃん…誰、この人」
直君はわたしに抱き着いたまま、櫻井君を睨み返す。
「俺?櫻井達人。どうぞよろしく、直君」
櫻井君は笑顔を作るが…目が笑っていない。
「…どうも。僕の名前知ってるんですね」
「近藤が可愛い幼なじみがいるって言ってたから。小学生、だとは思ってなかったけど」
“小学生”を強調して言う。
「……」
直君は顔をしかめる。
確かに直君は小柄だが、小学生に見える程小さくはない。
その上制服を着ている。
「櫻井君。いきなり何?それ、わざと言ってるでしょ…」
櫻井君を見ると、作り笑顔も消え、再び直君を睨み付けている。
「というか、いつまで張り付いてんだよ。お前」
「…別に、貴方には関係ないじゃないですか」
ギュッと、抱き着く腕に力を入れる。
「こんな事、いつもしている事だし。ね?まゆちゃん」
そう、笑顔を向けられるが…
「うん、まあ…。あの、直君、怒ってる?」
「べーつーにー。僕、小学生に見えるらしいけどー。気にしてないしー」
…完璧にキレている。
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