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直君を見送り、櫻井君と二人っきりになる。
住宅街、ゆっくり話をするのには人目もあるので、通りにある小さな公園に入る。
公園には数人の子供達が遊んでいる。
わたしと櫻井君はベンチに腰掛け、しばらく無言のまま遊んでいる子供達を眺める。
「…あの、櫻井君。今朝はからかったりしてごめんね?」
わたしは俯きながらも、意を決して、櫻井君に切り出した。
彼は無言のままこちらを見る。
わたしは俯いているため彼の表情は分からないが、軽く、困ったようなため息が聞こえる。
「いや…別に。そんな謝られる程の事でもないし…」
「だけど、冗談にするつもりは無いって言ってたから。そんなに怒るとは思わなくて…」
「……え?」
「?言ったよね?」
「言ったけど…」
櫻井君を見ると、驚いたような顔でわたしを見ている。
「櫻井君をからかった事を、冗談ですませるつもりじゃ無いって…」
「いや、そういう意味で言ったんじゃ無いんだけど…」
そう言って、顔を若干引きつらせ、苦笑いをする。
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