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ぐるぐると櫻井君の言葉が頭の中を回っている。
好きだと言われた時、驚いたと同時に、たしかそんな罰ゲームがあったなと思った。
どうして彼がわたしに好意を寄せてくれるのか分からない。
…どうしても信じる事が出来ない。
いや、正確には信じたくないのかもしれない。
櫻井君の表情を見れば、冗談を言っているようには見えなかった。
それでも、好きだと言われた事に対して、“嬉しい”よりも“怖い”が勝ってしまう。
告白を信じて、櫻井君を好きになってしまったらと思うと怖い…
好きになってしまって、あの告白が罰ゲームや冗談だったら?
自分自身が彼をどう思っているか考えるより先に、そんな事ばかり考えてしまう。
…わたしに、恋なんて出来ない。
あの告白を信じてしまったら、今まで作り上げて来た自分が壊れてしまうような気がして―
もう一人の自分が語りかけてくる。
――恋なんかわたしらしくない
――好きって、わたしの何処を好きになったの?そんな価値、わたしにある?
――見た目通り、強くて、たくましくて、男っぽくて、わたしに魅力なんてないじゃない
――自惚れて、恥ずかしい思いなんかしたくない…
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