子供のやきもち

5/9
前へ
/147ページ
次へ
心の奥が急速に凍りついてくような感覚に、一瞬、息をする事を忘れる。 不安と恐怖と混乱とがないまぜになったように固まり、留まり、それらが胸の中を掻き回すように暴れ回る― 「直、君…どう…して…」 どうして… その先の言葉は出て来なかった。 わたしは一体…直君に何を聞きたいの…? 胸に感じる痛さに、思考が鈍り、声も出せなくなる。 「僕が…僕が子供だから?子供だからそうやって誤魔化すの!?」 「…っ」 強く、腕を掴まれる。 「どうして、そんな顔するんだよ!他の奴の事で…!」 辛そうで、苦しそうな表情―― どうして? どうして、そんな表情でわたしを見るのか― 「僕の前で…そんな顔見せないでよ!」
/147ページ

最初のコメントを投稿しよう!

557人が本棚に入れています
本棚に追加