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わたしの腕を掴む手が震えている。
「僕は…僕のほうが…」
不意に、直君の手の力が緩み、腕を離される。
直君は、何かに耐えるかのような表情で俯き…
「ごめん…今は、一人にして」
「直君…でも…」
こんな状態の直君を、一人にはしたくない。
お父さんは自分の事がいらないのかと、泣いていた幼い頃の直君と重なって見えた。
「ごめんね?訳の分からない事言って」
そう言って、笑う笑顔がとても辛そうに見え、胸の奥を締め付ける。
「僕は大丈夫だから、一人にさせて?お願い…」
壊れてしまいそうな程、辛そうに笑う直君に、わたしは何もする事が出来ず、ただ、黙って頷く事しか出来なかった…
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