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「なんだ……?知らない天井だ」
ゆっくりとベッドから身体を起こし、周りを見渡すとそこは病室だった。
だけど右半分の視野が妙に狭い。
ベッドの横に置いてある手鏡をふと手にとり顔を眺めた。
鏡に写っていた自分の右半分の顔に包帯が巻かれている。
包帯を巻かれているせいだけではなく、どことなく右目に違和感を感じていた。
「お母さん……浩也君の右目にもう光が映ることはないでしょう」
ドアの向こうから医者の話し声とお袋の泣き声が聞こえる。
「俺の右目が……失明?」
力ない野球少年の声が喉から漏れだした。
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