君に降伏!―1―

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どうでもいいが棗は女装している時とそうでない時で口調を使い分けているらしい。 女装している時だけ女の口調になるのだから器用なものである。 そんな事を頭の片隅で考えていると、渉は微かに眉をひそめた。 『あれ……?いつもならここにシャツがあるはずなんだけどな……』 ごそごそと探すが、いつも用意してある場所にシャツがない。 あとついでにスラックスも。 『あれ?どこやったっけ……なぁ棗。お前ここにあったシャツ知らな――』 言いながらくるりと振り返り、渉はそのまま言葉を止めた。 石と化した渉を見て棗が自分の着ているシャツを引っ張る。 『あぁ、もしかしてシャツってコレのこと?』 『…………』 一瞬だけ部屋に沈黙が訪れる。 だがそれも長くは続かなかった。
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