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そいつは歩く時限爆弾、もしくはダイナマイト。
「久しぶり、渉」
そう言ってにっこりと微笑む美女――、いや、『美男子』を見て俺は引きつった笑みを浮かべた。
彼の存在によって、俺の人生の半分が波乱と呼べるものとなっている。
そう言っても過言ではない位、この男――風上 棗(かざかみ なつめ)は、トラブルという言葉が似合い過ぎる程のトラブルメーカーだった。
そしてまさに今現在、棗は中学からの友人である俺、今本 渉(いまもと わたる)にトラブルを持ち込もうとしている真っ最中だった。
「久しぶりってお前……いきなり人んちに押しかけてきて一体なに考えてんだ」
渉がげっそりとした顔でだるそうに言い放つ。
無理もない。
ただ今の時刻は深夜3時。
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