君に降伏!―プロローグ―

2/9
1037人が本棚に入れています
本棚に追加
/230ページ
そいつは歩く時限爆弾、もしくはダイナマイト。 「久しぶり、渉」 そう言ってにっこりと微笑む美女――、いや、『美男子』を見て俺は引きつった笑みを浮かべた。 彼の存在によって、俺の人生の半分が波乱と呼べるものとなっている。 そう言っても過言ではない位、この男――風上 棗(かざかみ なつめ)は、トラブルという言葉が似合い過ぎる程のトラブルメーカーだった。 そしてまさに今現在、棗は中学からの友人である俺、今本 渉(いまもと わたる)にトラブルを持ち込もうとしている真っ最中だった。 「久しぶりってお前……いきなり人んちに押しかけてきて一体なに考えてんだ」 渉がげっそりとした顔でだるそうに言い放つ。 無理もない。 ただ今の時刻は深夜3時。    
/230ページ

最初のコメントを投稿しよう!