君に降伏!―プロローグ―

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そして棗が渉の住むアパートに来たのはつい30秒ほど前の話。 渉は仕事で疲れた体を癒そうと、ベットでぐっすり眠っていたのだ。 それをこの忌々しい爆弾、棗のせいで無理やり夢の世界から引きずり出されてしまった。 怒りを露わにしようにもまだ眠気が覚めていないため思うように思考が働かない。 玄関に突っ立ったまま渉がボリボリと寝癖のたった頭をかくと、棗は渉とは対照的に嬉々とした表情で渉に笑いかけた。 「泊めて」 キラキラリーン。 音で表現するならまさにこれだろう。 薄茶の髪はサラサラのストレートロングで、少しだけつり上がった瞳も髪と同じ薄茶。 目元を覆う睫は長く、唇は柔らかそうな桜色。 ワンピースから覗くスラリとした足はそこらの女性モデルにも引けをとらない、まさに美脚という言葉が似合うだろう。    
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