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「もう大丈夫ですよ、棗さん。俺がついてますから!!」
「白石君っ……」
――って、気付けよ白石ぃ。
か弱い乙女を演じる棗の隣で渉がモアイ像と化す。
渉は届かないと分かっていてもテレパシーを送らずにはいられなかった。
白石ちゃん。
今君が抱きしめているのは男なんだよ。
その事実をただ一人知っている渉は、白石が気の毒で涙が出そうだった。
あぁ……また一人、この男の毒牙にかかってしまった……。
その後日。
「あー……なんか一気に疲れが溜まったような気がする……」
渉は休憩所の椅子にぐったりと座り、昨夜の出来事を思い出していた。
昨日は棗の演技のおかげでなんとか誤魔化す事が出来たが、もうあんな仕打ちはこりごりだ。
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