君に降伏!―1―

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そんな中で、渉のポケットからピーピー、と携帯の着信音が響く。 むさ苦しい野郎共の声に紛れて、渉は携帯の通話ボタンを押した。 「……もしもし」 『もしもーし。あ、渉?俺だけどー』 聞こえてきた声に渉はしばし無言で停止した。 最近はオレオレ詐欺が流行ってるって言うしな……。 しかしあいにく詐欺に遭うほどの金は持っていないぞ。 『おい、聞いてんのかよ?』 「聞きたくありません」 電話の相手の問いかけに渉がキッパリと答える。 声の主は言わずと知れたアイツ――、風上 棗。 棗はどこか上機嫌な口調で電話ごしに笑った。 『昨日は色々と世話になったな』 「あ?なんだよ急に」 男の口調という事は、棗は今男の格好をしているのだろう。 だが棗は今どこにいるのだろうか。    
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