君に降伏!―1―

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晴れ渡った空の下。 棗はビルの屋上で手すりに寄りかかった状態で電話をしていた。 耳元からは彼の心地良い声が聞こえる。 これから自分が言うことに、彼は一体どんな顔をするだろう。 その反応を見るのが楽しくて仕方なくて、棗は彼につまらないちょっかいを出さずにはいられないのだ。 「別に。たださ、これからもっと世話になるから一応言っとこうと思って」 『はぁ?何の事だよ?』 渉の声にクスリと棗が微かに笑う。 その顔はどこか思わせぶりで、不敵に染まっていた。 風が棗の髪を柔らかく揺らし、棗は細い指で耳元の髪をかき上げた。 「おい、棗?」 そんな棗の様子に気付かずに渉が不思議そうな声を出す。 この時渉は忘れていた。 この男、風上 棗はトラブルを持ち込む爆弾のような人間だという事を。    
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