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『……さん、……今本さん』
誰かがどこかで呼ぶ声がする。
渉は気がつくと、見知らぬ真っ白な世界に立っていた。
その何もない空っぽの空間に、一人の若い女性が浮かび上がる。
『……今本さん』
『君は――…佐々岡さん?』
目の前に現れたのは渉の職場の後輩であり、微かに好意を抱いている佐々岡 美由紀。
だがどうしてこんなところに彼女がいるのだろうか。
渉が呆然と立ち尽くしていると、佐々岡は少しだけ俯きその白い頬を朱に染めた。
『今本さん。わたし……ずっと前から今本さんの事が好きでした』
『えっ……!?』
突然の告白に渉が動揺の色を見せる。
だが佐々岡は懸命にも渉の顔を見つめ、訴えるような視線を向けた。
『私じゃ、ダメですか……?』
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