予兆

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「じゃあ、これ、運んでおいてね。」   少女は両手で持っていたバケツを下ろすと、塀の上にいる人間の骨にコウモリの様な羽根をつけた生き物に声をかけた。   ここは眞魔国の魔王陛下の住居である血盟城。 そして、少女が呼びかけたのは、この城のマスコットキャラクター(?)にして、便利族の骨飛族だった。 骨飛族は顎骨をカツカツ鳴らしながら、いつものような敏捷な動きでは無く、よろよろと降りてくると、荷物を持って、よろよろと飛んでいった。     「ドリア、どうしたの?」     その様子をポカーンと見ていた少女ドリアに、同僚で仲良しのラザニアが声を掛けた。     「なんか、コッヒーの様子がおかしくて…」     骨飛族は、只今、血盟城で『コッヒー』と呼ばれていた。 名付けたのは、この城の今は不在の主である。 主はこの城で働く兵士やメイド全てに愛されて居るため、自然とみんな同じ呼び名で呼ぶようになったのだ。  
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