～The end of…～

『災いの子』

　
先程まで吊り上がっていた眉は曇ったミィユの心情を表すようにしゅんと垂れ下がってしまった。

名前は大切なものだ。
特に、自分達にとっては。自分達のような境遇で生きる者にとっては。

自分が、自分だという証明。
自分が、この世に生き、存在しているという証。
名があるということは、名を呼んでもらえるということは……自分が一人でないと、認めてもらえているのだと、解るのだ。

認められている証。
ここに在っていいと、居場所が確証出来る。

だから名前はとても大切なもの。…孤児である、自分達にとっては尚更に…。

ソイルは少し変わり者だ。
どこか一線を引いて、距離を取っているみたいに一人でいることが多く、今日のようにふらりと居なくなることも日常茶飯事で。

…だから余計、悲しく感じてしまう。
自分を、傍に在る者として認めてくれていないんじゃないかと――そう思ってしまうから。