生活のために…

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―パチッ――― 小屋の中に財布を開く音が響いく…… 真剣な面持ちで財布を覗く彼女は、この家……もとい小屋の主人の如月金鈴… 「やばいな…………貯金してた金が尽きた……」 ――パチン 財布を閉めながらため息をつく。自分で言うのも何だが今の生活は貧困を極めている… 「慶が来てから、食費が増えたからな……もうそろろ焼け終わるな…」 甘酸っぱいストロベリーの匂いのするオーブンに近寄り焼いていたタルトをオーブンから取り出す。 「いい艶だ♪食べさせるのがもったいないな………せっかくだからな~近所の子供に♪♪♪」 鼻歌歌いながらキッチンを片付けていく。 ―ダダダダダダダ!!!! 「待~た~ん~かい!!!!」 地響きに似た足音と騒音に聞こえる声が勢いよく小屋の方に近づいて来た。 どおぉん!!!! 「そのタルト!!!わいの物や!!!!!」 「がぁうぅぅ!!」 玄関の戸を小屋の中に蹴って入ってくる一人と一匹… 勢いよく飛んできた戸は正面の壁を貫通し風通しの良い空間になった。
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