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「!?」
その声に少年が
振り向くと
さっきまで
誰もいなかったはずの
空間に黒いローブに
身を包んだ少年が
浮かんでいた
「自分の可能性を自殺という最悪の幕引きで閉ざしてしまうのか?」
浮かんでいる少年
天津 龍夜は冷酷な
笑みを浮かべた
「だ、誰だっ!」
最初は
呆気に取られていた
少年は自意識を
取り戻したのか
震えた声で叫んだ
「俺は天津龍夜、冥界の使者だ」
「冥界の……使者?」
龍夜はゆっくりと頷く
「もう一度問う、自殺なんて最悪な幕引きでいいのか?」
「俺は……………」
少年の瞳に
迷いの色が浮かんだ
龍夜は着地すると
少年に歩み寄る
「憎いんだろ?自分の想い人を独り占めしているあの男が」
「…………………」
「殺してやりたいと、思わないのか?」
「…………………」
「そうすれば、女はお前の物になるんだぞ?」
「!?」
「さあ、望め!無限の力を!誰にも負けない強い力を!」
龍夜は両手を広げて
力いっぱい叫ぶ
「俺は…………俺は!」
「……………………」
「力が欲しい!誰にも負けない、強い力が!」
少年が叫んだ
龍夜の顔に
冷酷な笑顔が浮かぶ
「その願い
聞き届けた」
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