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階下から聞こえる
悲鳴を楽しそうに
聞きながら
龍夜は満足気な
笑顔を浮かべていた
冥界の案内人
それは
人の心の闇に付け込んで
魔物を生産する悪の化身
人類の敵と言っても
過言ではない
「辞められないね、いつ聞いても最高だよ……」
泣き叫ぶ女の声
断末魔の悲鳴
肉を切り裂き
骨を砕く音
「これ以上興奮する音は無いね…………」
龍夜は
自らの歪んだ
欲望の為に
冥界の案内人として
社会の影で生きている
自分が間違ったことを
しているのはよく理解しているつもりだ
「それでも辞められないんだよなぁ」
「なら僕が止めてあげるよ、君の間違った行動をさ………」
突然
背後から聞こえた
殺気を含んだ声に
龍夜は口元を歪めた
「何のようだ?」
「決まってるだろ、君を止めるのさ」
「戯れ事だな、龍希」
龍夜が振り返った先にいたのは
同じ顔をした少年だった
「お前の力で俺が止められるのか?」
同じ顔をした少年に
哀れみを含んだ顔で
笑いかけた
「やってみなきゃわかんないよ?兄さん」
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