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「兄さん……まだ宮子のことを気にして………」
「黙れ!それ以上言えば俺はお前を殺す!」
龍夜は吐き捨てて
龍希を蹴り上げた
「十秒待ってやる、その間に消えろ!そして二度と俺の前に姿を表すな!次は消す、覚えておけ」
「兄さん……くっ!」
龍夜の有無を言わせぬ
口調に
龍希は頷くしかなかった
「諦めないよ、必ず止めてみせるから」
龍希はそう言い残して
現れた時と同じように
唐突に姿を消した
「………行ったか」
龍夜は弟が消えたことを確認すると
懐からタバコを取り出し火をつけた
「………………」
立ち上る紫煙を見ながら
龍夜は顔をしかめる
「不味い…………」
龍夜は吐き捨ててると
タバコを揉み消した
聞こえなくなった
悲鳴や叫び声
おそらく龍希にやられたのだろう
「使えない男だったな」
誰に言う訳でも無く呟く
「そうね、同感だわ」
その呟きに答える声があった
「所詮は量産型ってことね」
いつの間にか龍夜の横に
全身黒ずくめの少女が立っていた
彼女の名前はアリカ
龍夜の使い魔である
「最初から期待なんてしてないさ」
突然現れた少女に驚くことなく
龍夜は二本目のタバコに火をつけて
「………………」
静かに目を閉じた
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