龍夜の秘密

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白一色の部屋 その中央に痩せこけた 少女が寝かされている 「宮子…………」 その脇には龍夜の姿 「………龍夜」 少女、宮子は小さな声を あげて龍夜の手を握り返した 「無理しないでね……」 「あぁ、大丈夫だ」 宮子を見つめる龍夜の目は優しさで溢れている 慈しみの視線 宮子以外には見せることのない龍夜の素の表情 「なぁ、宮子」 「うん?」 「必ず治してやるからな 待ってろよ」 宮子の体を蝕む不治の病 現代の医療では治すことは出来ないとされている 「………うん」 宮子自身もそれは 承知していることだ 「そんな顔すんなよ」 龍夜もそれは理解している、だからこそ許せない 何も出来ない自分自身が 「大丈夫だから」 それが歪んだ欲望として 現れる 怨嗟の連載 矛先の無い怒りは 欲望に向けられる 「絶対助けてやるから」 宮子の手を握り 龍夜は呟いた
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