龍夜の秘密

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病院の屋上 そこに龍夜と少女の影 「あんなこと言って大丈夫なの?」 少女、アリカは抑揚の無い声で言う 「………大丈夫にするんだよ、俺のこの力で」 そう答える龍夜の目は虚 何も写していない 空虚な瞳 「………その為の私だもんね」 アリカは納得したように 頷き、龍夜の手を取った 「あぁ……その為のお前だ」 龍夜はその手を振り払うことなく、そっと握り返した 龍夜に異常の力を与えたのは外ならぬアリカだ 彼女は 宮子を助けることを条件に龍夜に協力を求めた 彼女の力があれば 不治の病を治すことが 出来るのだ 「その為にはもっと殺さなきゃね」 「わかってるよ」 アリカが出した交換条件 それは人を殺すこと 龍夜は拒むことなく それを受け入れた 宮子の為なら 悪魔にでも魂を売る 例えそれが自分の身を滅ぼすことになっても 龍夜は止まらない 全ては愛すべき宮子の為 麻痺した龍夜の感覚は 人を殺すことに罪悪感を 覚えない 龍夜にとって 人を殺すことは正義 正しい行動 悪役なりの正義 もう誰も止められない
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