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まだ日の明るい夏の夕方、新宿の歌舞伎町を颯爽と歩く一人の男がいた。
秋月日明(あきづきあきら)30歳独身。
歌舞伎町のキャバクラ、クリスタルで働き始めて三年になろうとしてる。
日明は夕方5時には出勤のため店に向かっている。
キャバクラというのは店によって多少異なるが会社と一緒で役職がある、日明の働いているクリスタルではウエイターから始まり、主任、サブマネージャー、マネージャー、チーフマネージャー、ヘッドマネージャー、副店長、店長、部長、代表という役職がある。
日明は今月8月にチーフマネージャーに昇格したばかりであった。
今日はクリスタルの全体ミーティングであった。
全体ミーティングは、ウエイターから代表まで男子従業員全員参加のミーティングである。
「え~、お疲れさん!」
代表の日吉が大きな声で挨拶をして話始めた。
「クリスタルもオープンして5年になる、知名度も売上も上がってきてるし、最近では満席で入れきれない状況もよく見る、そこで!今年11月に2店舗目を出店する!」
「オォ~!」
従業員全員から歓声があがった。
歓声が収まったところで、また日吉が話始めた。
「もちろんクリスタルから何人かが新店に行ってもらう、新店にはやりがいもポストもあるだろう!これからのお前らのやる気を見せてもらって、人選は決めるつもりだ、頑張ってくれ!以上!」
日吉の話が終わっても、従業員全員の興奮が治まらなかった。
日明も心の中で
『チャンスだ!絶対に新店に行ってやる!』
と思っていた。
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