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気付くとそんなシンジを異常な奴だと――関わるとやばい奴だと思ったのか、露天風呂を楽しんでいた他の客達もそそくさと露天風呂を後にした。
気付くと露天風呂は貸し切りになっていた。
お陰でシンジは心置きなく景色を楽しみつつ風呂を楽しめた。
矢張り善行善果と言うのか、良い事をすると報いが返って来る物なのだ。
シンジはそれから暫し、身体を温め続けるのだった。
ここは諏訪、神が宿る地だ。そこで無益な殺生をするとは許されない行為なのだ。
シンジはそれを留めた、謂わば英雄だった。
そんなシンジを異常者扱いするとは、人間とは何と不完全な生き物なのだろう。シンジはその人間の罪を一身に背負っているようにも感じるのだった。そしてだからと言ってそれに甘んじるつもりも無かった。
シンジはそれから三十分も露天風呂を楽しみ、そしてその温泉を後にした。
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