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  薄暗い部屋に、ファズの金属製の足裏が立てるカツカツという音だけが響いている。 まだ外の追跡者たちに動きは無いようだ。 「……」 無言で先頭を歩くジャギに、仏頂面のリヴ、不安を押し殺したような表情のファズが黙々と続く。 「ジャギ・フォールエンス」 「声紋確認。非常出口、開きます」 「俺はこんな場所知らなかったぞ……?」ガトリングガンを抱えたリヴが呟く。 「……」 そんなリヴを横目に見て、ジャギは静かに、と言った。 その瞬間、目の前を「レイヴン」が猛スピードで通り過ぎる。 「………!」 製品情報としてファイルは管理しているものの、ファズが実機を見たのは初めてで、実際に作動状況を見たのも勿論初めてだった。 「今だ、走って!」 向かいのビルを指差して駆け出すジャギに一人と一体が続く。 エントランスに駆け込んだ直後、上空から発砲音が聞こえてきた。 「ファルコン」が威嚇射撃をしたのだろう、もはや誰もいないアジトに向けて。  
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