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「さて…これからどうするかだけど……」
「待てよジャギ!」
「…ん?どうしたのリヴ?」
ジャギはあくまで冷静さを失わない。
「どうしたのじゃねぇ!おかしいと思わねえのか?俺がこのポンコツを連れてきた。そうだよな?それからどうだ、ものの数分も経たねえ内にあのカラス野郎と鷹のお出ましだ!こいつが奴等(VRE)に場所を教えたに違いねぇんだよ!」
ファズは黙っている。
うつ向き、泣きそうな顔をして。
「素晴らしいプログラムだな、ポンコツ?悲しみなんて感じねえくせによお?」
「わ…私は……」
「止めるんだ、リヴ」
「お前!こいつを庇うのか?」
「庇う訳じゃない。そんな事はもっと状況が落ち着いてからしてもいいことだ」
「…造作もないだろう?通信の痕跡を調べるなんて。“僕たちはハッカーなんだから。”ねえリヴ?」
ジャギはどこか高圧的な口調で、言葉の最後の方になればなる程より強く言った。
「……!」リヴが怒りを押し殺し、震えるのが見てとれた。
「さあ、ファズも目元のレンズ洗浄液を拭いて…」
「本当に私は……!」
「分かってるよ。今はここから逃げる事だけを考えるんだ」
少年は静かに微笑んだ。
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